5月12日19時より、ルノアール新宿区役所横店にて第三十五回国体思想研究会例会が開催され、新規参加者3名を含め11名が参加した。
まず最初に、荒岩宏奨氏(展転社編集長)が、メーデーに因み「日本人の労働観」と称して発表。保田與重郎や福田恆存の労働論に触れた荒岩氏は、「現在は消費が目的で生産が手段といふ考へだから、手段である生産に苦が伴ふのであらう。生産も消費も目的であった昔は、両方とも娯楽だった」と指摘する。また、『旧約聖書』における楽園追放のエピソード、記紀に示された「ことよさし」思想、さらには支那の七夕伝説を比較し、「西洋人にとっては辛い、支那人は悲しい、日本人は楽しいといふ労働観を持ってゐた。聖書でも七夕伝説でも、初めから労働が辛く悲しかったわけではない。神や天帝の怒りに触れて原罪を負ふことによりさうなってしまった」と指摘。だが、西洋近代の影響を受けて現代の日本人は労働を「苦」としか捉えられなくなっている。労働者の解放を目指すなら、階級闘争を行うのではなく、日本古来の労働勘を取り戻すことが必要ではないかと結んだ。これに対して、聖書理解の妥当性やウェーバーやアーレントの労働観を巡る議論など様々なコメントがあり、活発な議論が展開された。
続いて、『万世一系の天皇』の輪読に移り、ポール・ド・ラクビビエ氏が発表。今回は、第三章「天皇存在の根拠と属性」のうち、前半の「万世一系の意味」・「万世一系の血統」・「万世一系の道統」・「万世一系の皇位」について精読した。